皮膚の構造を覚える。そして、感覚受容器の種類を覚える。

国家試験

正確に理解しておくべき感覚の種類

神経系の基本は、以下に示す通り、中枢を介して、末梢神経により受容器と効果器を結ぶものです。

〜神経系の全体像を掴む!神経系の反応経路〜

刺激→受容器→末梢神経(感覚神経)→中枢神経→末梢神経(運動神経)→効果器→反応

この基本的な流れを理解しておくことは重要なことです。別の記事の中では、「錐体路の知識を筋力評価、筋力トレーニングに役立てよう!」や「国試に出る伝導路! 様々な伝導路を理解する。」で、主に「中枢→効果器→反応」の流れを解説しました。一応、確認しておきますが、中枢とは司令塔であり、ここではです。また、効果器とは反応を起こす部位であり、ここではです。そして、動作という反応を人間はは起こします。

では、「刺激→受容器→中枢」の流れはどうでしょうか?

この流れを理解する上で、まず、確認しておきたいことがあります。それは、感覚の種類です。
どのようなものがあるでしょうか?質問形式で確認していいきたいと思います。

 Q1.感覚には、大きく分けて何がありますか?

答えは、体性感覚特殊感覚です。

Q2.体性感覚には何がありますか?

答えは、表在感覚深部感覚です。
内臓感覚もありますが、臨床実習として扱うことはなく、国試にはほとんど出ません。

Q3.表在感覚には何がありますか?

答えは、温度覚(温覚・冷覚)痛覚触圧覚です。

Q4.深部感覚には何がありますか?

答えは、意識できる(識別性)深部感覚意識できない(非識別性)深部感覚です。
ちなみに、意識できる深部感覚は、振動覚・運動覚・位置覚であり、意識できない深部感覚は、筋・腱の長さの変化を感知する感覚です。

Q5.特殊感覚には何がありますか?

答えは、視覚聴覚平衡覚味覚嗅覚です。

ここまでが、PT国試に出る感覚の種類です。基本的なことですが、いきなり「感覚とは?→痛覚です!」のように、途中をとばさないで、正確に理解して下さいね!

意外と飛ばしがちな皮膚の構造

感覚の種類は、これから勉強していく感覚についての基礎中の基礎です。この部分はしっかり整理して覚えていない学生さんが多いので、改めて確認してみて下さい。復習ですが、感覚は、特に表在感覚は、刺激を皮膚に存在する受容器で受け取り、それを感覚神経を介して中枢の脳(一次感覚野)に伝える一連の流れを理解しなければいけません。この、「どんな刺激を→どこで受け取り→どこに伝えるか?」の流れを理解することが必要です。

そして、以下に、最初に刺激に受け取る場所を整理していきたいと思います。
それは、表在感覚の場合、刺激の受け取り場所としての「皮膚」です。

皮膚の解剖が、教科書の図を見て、自分で書けるでしょうか?
そこで、質問です。

Q1.皮膚は何層構造ですか?

答えは、3層構造です。
表面から「表皮・真皮・皮下組織」です。これは、何度も唱えてすぐに覚えて下さい。

Q2.皮膚の構造の最も表面にある「表皮」は何層構造ですか?

答えは、5層構造です。真皮より薄いです。
表面から「角質層・淡明層・顆粒層・有棘層・基底層」と構成され、生まれ変わり(ターンオーバー)は約1か月程度で激しく入れ替わります。国試には、言葉だけの暗記が必要です。

Q3.真皮は、何と何で構成されていますか?

答えは、「乳頭層網状層」です。表皮より厚いです。
国試の設問に「真皮乳頭」という言葉がありました。ターンオーバーは5〜6年で、かなりゆっくりです。

Q4.刺激を受け取る「感覚受容器」はどこに存在しているでしょうか?

答えは、大部分が「真皮」に存在しています。これは、重要なことです。
先程、表皮5層構造であることをお伝えしましたが、これは、感覚受容器が存在する「真皮」を守るためです。なぜなら、真皮がやられてしまうと、刺激を脳へ伝えることができなくなってしまいます。皮膚からの情報は、触圧覚にしろ痛覚にしろ、生きていく上で、なくてはならないものです。そのため、皮膚の浅からず、深からずのところにセンサーが存在するのはとても理にかなっているのだと思います。

皮膚の構造を、イメージしながら解答できたでしょうか?
そして、皮膚の最も深い層には、「皮下組織」があり、そこには「皮下脂肪」が存在しているのです。

ちなみに、垢すりは、表皮の1層目にある角質層をゴシゴシ削って出てくるものです。ただ単に皮膚を削っているのですね。また、タトゥーは真皮に墨を入れるので、元通りに消すことはできません。若気の至りで、安易にタトゥーを入れるのは考えものですよね。

なかなか覚えられない、しかし絶対に覚える必要のある感覚受容器

刺激を受け取る皮膚の構造は理解できましたでしょうか?その他にも、汗腺立毛筋など、国試で覚えなければいけない解剖学的な名称は他にもありますので、自分で図を書けるようにして下さい。

ちなみに、汗腺エクリン腺アポクリン腺があります。
エクリン腺は、全身に分布し、暑い時に出る汗など、体温調節のための汗腺です。サラサラした汗が出ますね。

一方、アポクリン腺は、脇の下など、局所的に分布し、性機能と関係していると言われています。そこから出る汗は、いわゆるフェロモンのような役割を担っているのです。脂肪を含んでいるため、脇の下など、少し臭うベトベトした汗が出ますね。オヤジ臭はここから出る臭いなのですね。

さて、本題です。
主に真皮に存在する感覚受容器にはどのようなものがあるでしょうか?

まず、理解して欲しいことは、以下の6つの感覚受容器です。

〜覚えておきたい!真皮に存在する感覚受容器〜

  1. マイスネル小体:触圧覚、振動覚
  2. パチニ小体:触圧覚、振動覚
  3. メルケル盤:触圧覚
  4. ルフィニ小体:触圧覚、温覚、位置覚
  5. クラウゼ小体:触圧覚、冷覚
  6. 自由神経終末:触圧覚、温痛覚

これらは、すべて触圧覚に関与していることを覚えて下さい。国試に出るのは、こんなものなので必ず覚えて下さい。

その上で、上の2つ「1.マイスネル小体」と「2.パチニ小体」は振動覚に関与しています。
パチンコをしている自分を思い浮かべなから、「マイ・パチ・振動」と覚えます。「1.マイスネル小体」は表層にあり、「2.パチニ小体」は深層にあります。そして、これら振動覚の受容器は振動刺激に速く反応します(順応速度が速い)。

次に、「4.ルフィニ小体」は温覚位置覚に関与しています。
ワンピースのゴム人間、ルフィーのギア4を思い浮かべながら、「ルフィーは熱くて、位置覚がスゲー」と覚えます。「4.ルフィニ小体」は表層にあり、速度は遅いです。沸騰したやかんの表面を触っても、熱さは、一瞬遅れますよね。

また、「5.クラウゼ小体」は冷覚に関与しています。
クラウゼさんという女の子をイメージして、「クラウゼさんは冷たい人」と覚えます。「5.クラウゼ小体」は表層にあり、順応速度は遅いです。氷に触っても、冷たい感じはちょっと遅れて伝わりますよね。

さらに、「6.自由神経終末」は、身体に害を及ぼすような「侵害刺激」、すなわち、「痛覚+温冷覚=温痛覚」に関係しています。
自由な人、自由神経終末さんは面倒くさいので、自由に音信不通、略して音通(温痛)できるとイメージして、「自由に音通(温痛)不信にできるよ!」と覚えて下さい。「6.自由神経終末」は、これがなくなると命に関わるので、皮膚の中で最も多く存在します。「6.自由神経終末」は表層から深層にあり、順応速度も速いものから遅いものまであります。

最後に「3.メルケル盤」は、触圧覚だけに関与しています。
「メルケルさんは触圧覚だけ」と覚えて下さい。「3.メルケル盤」は表層にあり、順応速度は遅いです。

教科書によって、それぞれの感覚受容器の機能は、ここに書いてあることと少し異なるかもしれません。しかし、PT国試に出るのは、上記を覚えておけば十分なので、ゴロでもなんでも良いので、種類と機能を覚えて下さい!この感覚受容器がスタートとなり、脳の一次感覚野までの旅が始まるのです。

まとめ

私自身、筋収縮のメカニズムを勉強することと感覚系を勉強することとでは、やはり、筋収縮のメカニズムを勉強することの方が面白いし、集中できます。しかし、国家試験を通過する上で、感覚系の勉強は避けては通れません。

今回、取り上げた感覚の種類を整理した形で、正確に覚えておくことや皮膚の構造、感覚受容器に登場する単語を、図とともに正確に把握しておくことは、国家試験はもちろんのこと、臨床的にも重要なことだと思います。

実際、臨床実習では、表在感覚の検査を行う上で、感覚系の基本的なことは理解しておく必要があります。また、脳梗塞片麻痺の患者さんを受け持つ際、麻痺側の感覚が鈍麻していることが検査により判明することがあります。感覚鈍麻を呈した患者さんの立場を考えたとき、いかに感覚がないことが生きる上で恐怖なのかを想像してみて下さい。熱さや痛みの感覚がないことは、本当に恐怖であることは想像がつくでしょう。また、別のところで解説する深部感覚について、それがないことは体重をかけられないことを意味するため、体をまっすぐバランスよく保つことが難しいのです。

このような患者さんを相手に、私たちPTは感覚系の再教育を行い、日常生活が安心・安全に行えるよう、サポートしていくのです。だからこそ、この分野の勉強は必須となるのです。

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