オンリーワンの理学療法士を目指す
私は養成校卒業後、急性期病院での経験を経て、大学院(修士課程)に進学しました。私が大学院へ進学した頃は、まだまだ大学院まで行く理学療法士は少なかったのですが、最近は、本当に増えましたね。大学院に興味がある方は、是非とも院への進学を検討してみて下さい。
研究活動は、患者さんを治療する上でのエビデンスになります。しかも、それを自分で作り上げることにやりがいを感じます。修士・博士といった学位の取得は、オンリーワンの理学療法士になるための一歩なのです。
それだけではありません。理学療法士に加えて、何かの免許・資格があれば、それだけでオンリーワンの理学療法士に近付いていきます。毎年約1万人が誕生する理学療法士ですが、それに加えて看護師や柔道整復師の免許、あるいは介護支援専門員の資格を持っている人はどれだけいるでしょうか。つまり、+αがあれば、それだけオンリーワンに近付きます。おそらく、今後、さらに人数が増え続けるであろう理学療法士業界では、オンリーワンの人材が生き残ることは必然です。ここで言う、生き残るとは、どの時代に、どこへ行っても、そこそこの給料を維持、あるいは向上させながら生活していける人のことです。だから、オンリーワン人材は、たとえ転職しても、給料やポジションを維持・向上していけると思います。
プラスが増えれば増えるほど、限りなくオンリーワンに近づけると思いませんか?
これが自分の能力であり、就職や転職する上での「売り」になります。「売り」がある人は強いです。
就職する上で必要な「売り」とは何か?
さて、急性期病院、修士課程を修了した私は、その後、老人保健施設に入職し、さらに、デイケアへ転職しました。そして、理学療法士の養成校の専任教員となり、家庭の都合で退職。その後は、適応障害になってしまった職場へ転職するという、地獄のロードへと進みます。なんとまーフラフラした人生でしょう・・・。こんな人生、決して真似しないで下さい(笑)!
しかし、これが今の私の「売り」になっています。この一見フラフラした人生経験こそが、今の私の価値だと考えています。これだけの経験をしている理学療法士がどれだけいるでしょうか?世の中には、専門性を深めたスペシャリストとして働いている人もいれば、広範囲の知識や経験を持つジェネラリストとして働いている私のような人もいます。どちらが良いかは人それぞれの価値観にもよりますが、少なくとも、今の私はジェネラリストの理学療法士として働いています。
ここ数年は介護保険施設で働いてきたことにより高齢者領域が私の専門分野ですが、理学療法士としてどこでも働ける自信はあります。しかし、これから就職の面接を受ける学生さんにとって、自分の「売り」を見つけることは、本当に難しい作業です。そんな時は、自分以外の第三者に意見を求めることです。自分では気づけなかった新たな自分を教えてくれるはずです。意見を求めるのは友達でも、学校の先生でも、親でも、真剣に話を聞いてくれる人であれば誰でも良いです。主観ではなく、客観的な自分を教えてくれると思いますよ。
就職面接では、何を聞かれるのか?
私は、今の職場で事務長として働いています。その中で、主に介護職の採用人事を担当しています。面接官として求職者を面接する上で意識していることは、求職者が私の職場に適合(マッチング)するのかです。具体的には、この人が入ることで今の職場に良い刺激を与えてくれるのだろうか?また、この人が入ることで今の職員とトラブルを起こさないだろうか?を考えながら面接しています。
しかし、新卒採用において名のある病院などに就職したい場合、多くのライバル達に勝つためには、
「私は、貴院に貢献できます。」と、断言できるかどうかで決まると思います。
そして、貢献できることを証明するためには、以下の2つを言えるようになる必要があります。
それは、すなわち、以下の通りです。
- 私は、貴院とマッチングしています(理念に沿った行動ができる)。
- 私は、私にしかない能力があります(貢献できる力がある)。
1.「私は、貴院とマッチングしています」とは、志望動機です。
病院などの就職先には、必ず理念があります。その理念と、自分が目指す理学療法士像が適合していて、理念に沿った行動ができなければ、いくら就職を希望する病院に入りたいと言っても説得力がありません。そのため、自分の目指す理学療法士像を明確にし、それをもとに理念に沿った行動ができることを伝えることが必要なのです。
だからこそ、入りたい病院等の研究は重要です。就活生が行う企業研究というものです。そこの病院が何を目指しているのか、どのような取り組みを行っているのか、などをホームページからでも良いので隅から隅まで調べて下さい。そして、施設見学を通してリアルな姿を見て、質問して、自分とマッチしている部分を探すのです。これができれば、就活としては1/3クリアです。
2.「私は、私にしかない能力があります」とは、自己PRです。
病院などの就職先は、採用して利益を生んでくれる理学療法士を募集しています。したがって、自分にしかない能力を、自信を持って言える学生さんは強いです。そして、その能力とは、自分の過去の経験に裏打ちされた、自分にしかない能力でなければいけません。
例えば、部活動の部長としてリーダーシップを発揮し部員を導いたとか、ボランティアを通して初対面の人と連携しながら行動したとか・・・過去の経験を棚おろしして、自分の能力に向き合ってみて下さい。
たまに、自分の過去の経験を振り返った時、「何もない」と言ってくる学生さんがいます。しかし、例えば、アルバイトのリーダーをやっていた、サークルで様々なイベントを企画し取りまとめをしていたなど、真剣に探せば何かがあるものです。自己PRのネタがない学生さんはいないと思います。これができれば、就活としては「志望動機」と合わせて2/3クリアです。
「最後に質問はありますか?」が意味することとは?
就職面接では、志望動機と自己PRの2つが言えてはじめて、「私は、貴院に貢献できます」と言うことができます。これは、裏を返せば、「私を採用しなければ、あなたのところは必ず損をします」と言っているようなものです。それだけの自信を持つことが重要だと思います。
だから、まず、以下の2つを明確にして下さい。
- 自分の目指す理学療法士像を具体的に作ること。
- 過去の経験に裏打ちされた自身の能力を見つけること。
この2つを通して志望動機と自己PRが明確になるので、面接としては2/3クリアです。残りの1/3は、面接官とのコミュニケーション能力が問われると思います。準備していない質問でも的確に受け答えできるか・・・このコミュニケーション能力こそ、組織で働くためには必須な能力であり、重要な力です。この部分に関しては、短期間で身に付くものではありません。日頃から他者とコミュニケーションを取っているかにかかってきます。
基本的なことですが、以下のようなポイントが重要となります。
- 相手の目を見て話ができるか?
- あいづちをしながら、相手の話が聞けるか?
- 相手に聞こえる声の大きさか?
目を見て話せない人は信用できません。あいづちがないと話を聞いているのかいないのかがわかりません。声が小さいと相手に言いたいことが伝わりません。特に、語尾が小さいと自信がないと思われてしまいます。このような基本的なコミュニケーション能力は日頃から意識して使っていないと、緊張が高まる面接ではうまく力を発揮できないと思います。学校、アルバイト、サークル、ボランティアなど、日頃の人間関係が面接対策でもあるのです。
そして、面接では「最後に質問がありますか?」と言うお決まりの文句があります。当然、「ありません」などと答えるならば、それはアウトです。この質問の意図は、就職したい病院等に興味・関心を持っているか、を確認するためのものだからです。だから、「ありません」などと答えるならば、興味・関心がないです、と言っているようなものなのです。
ただ、この問いは、意外に難しいですよね。だから、単純にそこに就職した自分を想像した上で浮かんでくることを質問したら良いと思います。例えば、「貴院は地域住民に向けた体操教室を行っており、私もそこに参加しそのお手伝いをしたいと考えているのですが、(面接官)さんは体操教室で心掛けていることは何ですか?」などです。
実際に自分がそこに就職している姿をリアルに想像できれば、自ずと心配なことや不安なこと、逆にやってみたいことや挑戦したいことが見えてくると思います。それを率直に質問すれば良いのです。
くれぐれも、「有給は取れますか?」や「ボーナスはどのくらい出ますか?」など、自分勝手な、どうでも良いこと質問をしてはいけません。また、「勉強会はありますか?」のような自分のキャリアアップについての質問も心証を悪くすると思います。面接官からすれば、あなたのキャリアアップなどどうでも良くて、あくまでうちに貢献してくれるかどうかを見ているからです。そのため、貴院に貢献したいことを暗に示しているような質問であればベストだと思います。
理学療法士国家試験は、あくまで通過点です。理学療法士になってからどうするのか?
就職活動は、それを考える良いきっかけとなるかと思います。
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